宣来子は道真の師・島田忠臣の娘で、道真の許婚。道真を心から愛し、道真が得業生になったら正式に夫婦になるという約束を楽しみにしています。今は12歳、このままおさな妻になる?
道真の許婚
道真の父・菅原是善が自分の後継者にと見込んだ弟子・島田忠臣の娘。菅原是善は忠臣に道真の教育係を任せており信頼も厚く、菅家の私塾である菅家廊下を任せたいと希望していましたが、忠臣はこれを断りました。ですが道真と宣来子の婚約の話はそのまま承諾しています。
道真は自分が得業生試験に受かるまでは結婚しないと宣言しているので、宣来子はやきもきしっぱなしです。まだ12歳ながら「私は道長の妻じゃ!」と言いまくる程、道真ラブなのですが、道真からは相手にしてもらえないとむくれています。
おまけに道真は年上好み、唐人好みと早合点して、大泣きにするなど、まだまだ子供っぽいところがあるにもかかわらず、白梅に「業平に近づいちゃダメ」とお説教するなど、アンバランスなところも可愛いですね。
道真は幼いころから許婚としての宣来子を尊重していて、なかなかの相思相愛?な感じがします。子ども扱いしていただけの宣来子に「お前がいると気が散る」と言われ、嬉しくてしかなかったり。
お転婆娘
のびのびと育てられ、自分の意見ははっきり言うタイプです。道真が得業士の試験をすっぽかして家出した際には、怒りに燃えて菅家の塀を乗り越えて中に入ろうとしたり。でも許婚なんだから、堂々と表門から入れそうなのに? きっと、得業士になるまでは会わないと言われていたからなんでしょうね。
でも思ったことは即、行動に移すので、道真に会うと決めたら手段は選ばず的な感じで、周りが結構ハラハラしています。
推理力
道真に倣ったのか推理力も鮮やかで、初対面で業平を見抜いたり、その推理力には業平も「なんだ、この既視感は?」とたじたじに。道真が11歳くらいの時に、やはり宣来子の父・忠臣の苦境をその推理力で助けたことがありましたが、そんなことも彷彿とさせます。
わずか12歳ながら、道真並みの観察力を持ち、双六や偏つぎなどもかなりの実力を示します。
父・忠臣が藤原にしばしば呼び出されていることを不快に思っており、そこにも何か怪しい気配を感じているのかも。
史実としては
史実では道真が文章得業生となった後、25歳頃に道真に嫁いだと記録されているので、まだずいぶん先ですね。この「応天の門」では12歳くらいの設定ですから、13年も先です。残念ながら、宣来子の望んだようにはいかず、おさな妻ではなかったんですね。
嫡男は菅原高視、そして長女・衍子は896年に宇多天皇の女御となりました。三女・寧子は898年に宇多天皇の皇子・斉世親王の妃となっています。899年に道真邸で行われた彼女の五十歳の賀に宇多上皇が御幸し、従五位下を賜っています。宇多天皇は道真を重用した天皇です。
901年の昌泰の変で道真が大宰府左遷された後も、宣来子は京に留まったものとされていますが、岩手県一関市には娘たちと共に落ち延びたという伝承と、宣来子の墓が残されているとか。亡くなった年は不明となっています。

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